お面には不思議な魅力があります。
お面をつける事により二つの目玉の穴を通して見える世界が面に開けられた二つの穴からだけしか見えなくなり面をつけている人が外から見て誰であるか判らなくなります。
その結果、自分とは違う「お面」のキャラクターとして振る舞える事になります。
古来シャーマニズムと呼ばれる原始宗教では面をつける事により神に近づく事ができました。
日本の能楽面は芸術品として知られていますが、能楽の元は神に捧げる神事から始まっているのもこの事から頷くことが出来ます。
この様に、元々は古代の信仰からくる土俗的な影響で発展したと思われる「お面」ですが江戸時代に入ると神楽奉納などの風習の中で、木や紙で作られた張りぼて玩具として神社などの縁日で縁起物として作られました。
こうした風習が今日の「お面」の原型として脈々と受け継がれていると考えられます。
誰しも子供の頃、一度はお祭りなどで買って貰った「お面」にまつわる思い出があるのではないでしょうか？
私も小学校に上がる前に、田舎の祭りの屋台で七色仮面かナショナルキッドか、どちらを選ぶかで大いに悩んだ記憶があります。
散々、悩んだあげく七色仮面を選んだ記憶があるのですが今となっては定かではありません。
そんな時代にタイプスリップさせてくれたズバリその時の思い出の七色仮面とナショナルキッドの「お面」です。
七色仮面もナショナルキッドも、それぞれ型違いで数種類ずつ所有していますが、私の迷ったのはこの2枚に間違いありません。
右のナショナルキッドは2800円で販売可能（送料全国均一240円）
しかし、そんな「お面」もその材質のもろさ故、数日もすると凹んだり割れたりして直ぐに捨てられる運命にありました。
もろくも儚いゆえに愛おしく思えます。
誰でも一度は夢みた変身願望・・・憧れの○○になりたい。
そんな変身願望を満たしてくれる「なりきりグッズ」の代表格が「お面」ではないでしようか？
私が「お面」をコレクションしようと思ったキッカケは1970年代後半に、お祭りの屋台で見た現代の「お面」でした。
アセチレン燈に照らし出されて、縦横50枚程がズラ～リと並んだ当時の「お面」の数々。
赤や青や黄色といった極彩色に彩られたヒーロー・キャラクター面はとても美しく輝いて見え、その様はアートの世界でした。
お祭りという日常から離れた異空間の中で展開されるお面の数々・・・これが、もしも自分が子供の頃の「懐かしいお面」だったらと考えると一気に、レトロ・ワールドへの扉が開かれた瞬間でした。
ひと口に「お面」といっても、その種類は膨大で集めだして30年以上経った今でも、見た事のない「お面」を発見したりします。
お面の魅力は誰が見ても、それなりに楽しめて月光仮面や、まぼろし探偵などのブリキ製玩具だと数十万円は下らないのに対して数百円～数千円から収集でき、バリエーションも実に豊富で立体物では存在し得ない「こんなキャラクターあり！」といった珍キャラ、レアキャラも多数、存在する事です。
面子などの紙製平面物に対し半立体的でコレクションとしては非常に入り易いジャンルと言えるでしょう。
昭和30年代当時は街の零細工場で作られる事が多く、1枚、1枚手塗りでキャラクターの版権への意識も殆ど確立されておらず、正規品とは微妙に違うノーライセンスの「ちょっと変なお面」が殆どでしたが今となっては、それが逆に面白く、なんともいえない良い味が最大の魅力となっています。
そんな捨てがたい造形美に惹かれて収集していますと束になってダース単位で大量に発掘する事もしばしばでした。
昭和40年頃になるとセルロイド製のお面から、塩ビ（塩化ビニール）製のお面へと変わってゆきました。
セルロイド製のお面に比べて割れ難くなり、サイズがひと回り大きくなりました。
よく子供の顔が大きくなったからと言われますが、そんな事はないでしょう（笑）
私が思うに、昭和40年頃になると人々の暮らしが豊かになり始め、商品である「お面」を、ひと回り大きくする事により商品価値を上げた（売価を上げた）のではないかと推測します。
つまり販売価格を上げる為に、ひと回り大きくして商品価値を上げる必要があったのでしょう？
この頃から手塗りではなく機械塗装になり、品質のバラつきもなくなります。
「お面」のコレクションは非常に奥深く、収集・研究していく間に自然とアニメ史、漫画史、ひいては世相・風俗史にまで精通していきます。
お店の天井に250枚ほど貼っていますが、スペースの関係で張り切れない「お面」を、数えると現在500種類以上はあるでしょうか？
重複している「お面」を含めると5000枚程あると思いますので販売・交換・買い取りもしています。
いつの日にか全ての「お面」を一堂に公開できたらいいと思います。
500種類の「お面」がド～ンと並んだら壮観でしょうねぇ。
記憶の底に仕舞いこんだ貴方の「憧れのヒーロー・ヒロイン」達に会いに来ませんか。
そこから私が感じた様な新しい発見が生まれるか知れません・・・座右の銘は「温故知新」です。
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過去のブログ記事も加筆、訂正、写真追加している場合がありますので宜しければ時々、覗いてみて下さい。
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