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| とくし丸, 家族 | | 5件のコメント

「とくし丸5go!」では、元気な楽しいお話を載せたい!って、いつも思っていますが、

今回はちょっと違います。

でも、私が「とくし丸」を始めるにあたり、とても大きな出来事なので聞いてください。

3/14(月) 最愛の父が天国に逝ってしまいました。

享年71歳でした。

父が胃癌のステージ4と診断されたと同じ時期に

私は「とくし丸」をやってみないかと友人に薦められました。

やりたい!と、すぐに思いましたが、

開業費用を考えるとあきらめるしかないかな…。と、思っていました。

あきらめ半分な気持ちで、何気なく父に話すと、

「ええんちゃうか。美穂に合っとると思うで」と、思いがけず背中を押されました。

母は車を運転出来ません。

もし、父がいなくなった時、買物に困る事は間違いありません。

そして、父を失った時、何かに没頭出来るものも欲しかった。

何よりも思った事は、私が一生懸命頑張る姿を見てほしいという事でした。

父との時間には、期限が付けられました。

その限りある時間、ずっと傍で寄り添う選択肢もありました。

付きっきりで思い残しのないくらい、一緒に時間を共にするのです。

でも、父の性分からも私の性分からも、その選択は違う気がしました。

私が一生懸命頑張る姿を見せる事で父に励みにして欲しかった。

もちろん、最初はそれが正しい事なのかどうかはわかりませんでした。

でも、夢中で走り出した私を、父は思った以上に楽しみにし、喜んでくれました。

時には、商売のアドバイスもしてくれたり、

私がイキイキ嬉しそうに仕事の話をするのを、「そうか。そうか。」と、

楽しそうに聞いてくれました。

「とくし丸」で、買物もしてくれました。

スーパーで積み込みをしている時も

「美穂!」と、声掛け覗きに来てくれました。

そんな時の父は、何とも言えない優しい笑顔でした。

そして、何より私にとって、良かったことは、

「とくし丸」を通じて、父のお客様に出会えた事です。

父は、理容師でした。

ハサミを持って、約半世紀。

行く先々で、知らず知らずに父のお客様と繋がりました。

「わしは、あんたのお父さんにしか髪の毛切ってもらった事ないで、

これから誰に切ってもらったらええんや。」とか、

「うちの子は、生まれた時からあんたんとこしか行った事ないんやで。

今も、車で1時間半の所に引っ越したけど、あんたんとこまで行っとるんやで~」とか、

有難いお話ばかり聞きました。

あ~、お父さんはこんなにもお客様に愛されていたんだ…。

改めて知ることが出来ました。

父が亡くなる前日、ずっと何十年も父が髪を切り続けていたお客様が来られました。

父に髪を切ってもらうのを待っていたけど、もう我慢の限界だと、

それを母が切る事になったのです。

母は、仕事を始める前に、もうすでに薬で意識が朧な父に

「お父さん、〇〇さんは何番のハサミやったかいな?」と、聞きました。

すると、虚ろだった父の目が急にパッと鋭くなり、

「〇番のハサミを使って、ここはちょっとセニング入れて、

ここはあんまり切らないように………」と、テキパキ母に指示しました。

それは、まさに職人。

プロの目でした。

あぁ…。お父さんは、最後まで散髪屋だなぁ…。

最後の最後まで格好いいなぁ。そう、感心させられました。

父が、1度だけ言った事があります。

「お父さんな、美穂が『とくし丸』やりたい!って、言うた時、

美穂に合うなって思って、簡単にやったらええやん。って、言うたけど、

始めてみると、ほんまに苛酷で大変な仕事やなぁと思って…。

軽率やったかなぁ~って、ちょっと気にしとったんや…。」

「何言うとるん!メッチャ楽しいで!メッチャやりがいあるし、全然そんなん思わんといて!

なぁ、お父さん、私イキイキしとらへん?」

「うん、そう思っとる。楽しそうやし、美穂にむいとる思う。」

「そうやろ!だから、心配せんといて!」

私は、今、やっぱりこの選択は間違っていなかったと、思っています。

このブログも、母と一緒に楽しみ読んでくれていたようです。

癌の告知を受けても、出来る限り仕事し、

畑をし、旅行し、美味しいものを食べまくり、

常に前向きに最後まで生き抜いた父でした。

仕事に、真剣に取り組み、決して妥協をしなかった父に負けないように。

「とくし丸」を応援してくれた父が、心配しないように。

お客様を大切にし、お客様から愛された父に恥じないように。

これからも、真面目に一生懸命仕事していきたいと思っています。

父を愛してくださった全ての方に心より感謝し、

これからは、精一杯恩返しができるよう頑張ります。

「お父さん、ありがとう。

これからも、見守っていてね☆」


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